2026年9月07日

高血圧の治療でお薬を飲んでいる方はとても多く、歯科を受診される患者さんの中にも、毎日降圧薬を服用している方がたくさんいらっしゃいます。
実は、高血圧のお薬の一部には、まれに「歯ぐきが腫れたり、厚くなったりする」副作用がみられることがあります。
今回は、高血圧治療でよく使用される「カルシウム拮抗薬」と歯ぐきの腫れについてご紹介します。
カルシウム拮抗薬とは?
カルシウム拮抗薬は、血管を広げて血圧を下げる働きがあり、高血圧や心臓の病気の治療に広く使用されています。
代表的なお薬には、
・アムロジピン
・ニフェジピン
・ベニジピン
・シルニジピン
・アゼルニジピン
などがあります。
これらのお薬を服用しているすべての方に症状が出るわけではありませんが、一部の方に「薬剤性歯肉増殖」と呼ばれる歯ぐきの変化が起こることがあります。
薬剤性歯肉増殖とは?
薬剤性歯肉増殖とは、薬の影響によって歯ぐきが通常よりも厚く、大きくなってしまう状態です。
特に歯と歯の間の歯ぐきから腫れ始めることが多く、進行すると、
・歯ぐきが盛り上がってきた
・歯が以前より短く見える
・歯と歯の間が歯ぐきで埋まってきた
・歯ブラシが当てにくい
・歯ぐきから出血する
・口臭が気になる
といった症状がみられることがあります。
症状が強くなると、歯ぐきが歯の一部を覆ってしまい、ブラッシングがさらに難しくなることもあります。
なぜ歯ぐきが腫れるのでしょうか?
詳しいメカニズムについては現在も研究されていますが、カルシウム拮抗薬の影響に加えて、「歯垢(プラーク)」による歯ぐきの炎症が大きく関係していると考えられています。
つまり、
「お薬を飲んでいる=必ず歯ぐきが腫れる」
というわけではありません。
同じお薬を飲んでいても、歯ぐきに炎症が強い方ほど歯肉増殖が起こりやすい傾向があります。
そのため、普段から歯垢をしっかり取り除き、歯ぐきを健康な状態に保つことがとても重要です。
歯周病と悪循環になることも
歯ぐきが腫れて厚くなると、歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間に歯ブラシが届きにくくなります。
するとプラークが残りやすくなり、
歯ぐきが腫れる
↓
歯磨きが難しくなる
↓
プラークが増える
↓
歯肉炎・歯周病が悪化する
↓
さらに歯ぐきが腫れる
という悪循環になることがあります。
そのため、薬剤性歯肉増殖が疑われる場合には、早めに歯科医院で状態を確認することが大切です。
治療はどうするの?
まず大切なのは、歯ぐきの炎症を減らすことです。
歯科医院では、
・正しいブラッシング方法の確認
・歯石やプラークの除去
・歯周病の検査
・定期的なクリーニング
などを行います。
軽度の場合は、プラークコントロールを改善することで歯ぐきの腫れが軽減することがあります。
一方、歯肉増殖が強く、歯磨きや食事に支障が出る場合には、歯ぐきの一部を整える処置が必要になることもあります。
お薬を勝手にやめないでください
「この薬が原因かもしれない」と思っても、高血圧のお薬を自己判断で中止することは絶対に避けてください。
血圧の薬を突然中止すると、血圧が大きく上昇するなど、全身の健康に影響する可能性があります。
歯肉増殖が強い場合には、必要に応じて歯科医師からかかりつけの内科の先生へ相談し、薬の変更が可能か検討してもらう場合があります。
ただし、薬の変更が必要かどうかは患者さんの全身状態によって異なります。
必ず主治医の先生と相談しながら進めていきます。
高血圧のお薬を飲んでいる方こそ定期検診を
高血圧のお薬を長く服用していても、ご自身では歯ぐきの変化に気づかないことがあります。
「最近歯ぐきが厚くなった気がする」
「歯と歯の間の歯ぐきが盛り上がっている」
「以前より歯ぐきから血が出る」
「歯磨きがしにくくなった」
このような変化がある場合には、一度歯科医院で確認してもらいましょう。
また、症状がなくても定期的に歯石やプラークを除去し、歯ぐきの炎症を抑えておくことが、薬剤性歯肉増殖や歯周病の予防につながります。
志賀本通たくみ歯科・矯正歯科では、お薬手帳などから現在服用されているお薬も確認しながら、お口の状態に合わせた歯周病治療・定期管理を行っています。
高血圧のお薬を服用されている方で、歯ぐきの腫れや出血が気になる場合もお気軽にご相談ください。